※この記事は2016年11月25日に書かれたものを、サイト移転に伴い、再編集してこちらに公開しました。
日本語の使い方には少しだけこだわりがあります。
他人と話すときは出来る限り伝わりやすい言葉を使いたいと思っていますし、「綺麗な日本語」に何と無く憧れがあります。
思い返してみると、初対面の方には明らかに年下であろうが敬語。
仲良くなっても敬語。
すごく小さい頃から親にも敬語を使っていたそうなので、人との距離感も含めてなんだか面倒くさい奴なんですが…結構「やべぇ」とか「パネぇ」とかよく言っていたりもするので、このあたりも曖昧、テキトーですね…。
言葉の印象、使い方で伝わり方がずいぶん違う、ということを特に感じている今日この頃です。
最近のアレクサンダー・テクニークの授業でも、
「(音楽)指導問題、勘違いの多くは日本語の「てにをは」(助詞)問題なのではないか」
という話題になりました。
「〜を使う」なのか「(結果的に)〜が使われる」なのか。
これって大きな違いですよね…って、この話はまた後日。
さて、本日の話題は
「試行錯誤」を重ねるです。
「試行錯誤」
- 新しい物事をするとき、試みと失敗を繰り返しながら次第に見通しを立てて、解決策や適切な方法を見いだしていくこと。
- ▽「試行」は試しに行うこと。「錯誤」は誤り・間違い。
英語だと「試行錯誤」→「trial and error」よくトライアンドエラーなんて言われますね。
この「試行錯誤」。
僕には、どうも迷いに迷いって路頭に迷っている感、というか、うまくいっていない感があって、言葉として好きになれませんでした。
なので、「試行錯誤」なんかしないで正解に真っ直ぐ行けた方が楽じゃね。「試行錯誤」めんどくさいしつらい、あーもう。なんて思っておりました。
…ですが、よくよく考えると「試行錯誤」をしないで覚えていったこと、上達していったことって無いんじゃないかな、と…。
歩き方を覚えていく時に、いきなりすっ、と立って何歩も歩き始めた人間がいるのか。
自転車を誰の助けも無しにいきなりすっと高速で乗れた人はいるのか。
人間は「生きていく」という時点で「試行錯誤」を重ねていく以外無いのかも知れません。
建設的な「試行錯誤」の重ね方ってこういうことなんじゃないかってことを、アレクサンダー・テクニークを共に学んでいた、トランペット奏者の木下淳平君はこう呟いています。
子供は歩けるようになるまでにすごい数の転倒をする でも歩きたいからまたトライする
— 木下淳平 (@jumpei_kino) 2016年11月14日
その時歩こうとする意図と転倒した時との差で無意識のうちに歩くことを学んでいる
これは大人になっても同じ
【こうしたいと思った時にこうなった だから次こうする】
が学び、成長のプロセス
全くの同感です。
こうしたいと思うことがあって、
それをやる為に自分で選んだ、決めたやり方を試して…
それで例えばうまくいかなかったとしたら、何が起きてどうなったかの情報収集。
そして次はどうするか、何をするかを決める…
それがどうやらいい感じなら、喜んで使ってみる…
そのやり方からなんかもっと上手くいけそうなやり方を思いついたら、情報収集して、また試して…
そうやって覚えていったやり方ってとても深く本人に入っていくでしょう。
僕も楽器演奏に対しては、特に、様々な「試行錯誤」を重ねてきました。
その中で自分に深く染み込んでいることは、無意識も含めて自分の責任の元、自分で選択していったことばかりです。
とは言え、無駄に失敗の経験を重ねることや、今でもよく言われる
「失敗を重ねて辛い思いをしないと成功はない」とか
「若い時の苦労や失敗は沢山しなさい」
みたいなのはあんまり好きじゃありません。
これらの考えは言葉の受け取り方によっては「苦しい思い」ありきに聞こえてしまうような。むしろそういうことだけを言っている人もい(以下自粛)
「失敗」はあっても「苦しい思い」や「辛い思い」は(必ずしも)無くていいと思います。
アレクサンダー・テクニークを共に学んでいた、イケメントランペット奏者の木下淳平君が、また、いいことを呟いてます。
「若い時にたくさん失敗しなさい」は「失敗して辛い思いをしないと成功しない」という意味ではなく、本当は
— 木下淳平 (@jumpei_kino) 2016年10月29日
「成功にも失敗にも囚われず、たくさんのことを試しなさい」という実験のモチベーションなのだと思います
こうしたらどうなるだろう…!
いつまでも演奏に好奇心を持ち続けたいです
全くの同感です。さすがです。
失敗をした時にどう受け取るのか、を考えたいし、失敗をどう活かしてやろうか、を考え続けたい。
そう考えると、「こうしたら失敗した」という情報収集は、やはり必要なのでしょう。失敗したからと言って、がっかりしたり、わざわざ自分を責めることはないのです。実験の途中ですしね。
失敗したから、そこから「あ…」と気づくことが沢山あります。やり方と考え方、受け取り方次第です。
例えば、指導者の方には生徒さんに安心して「試行錯誤」を重ねられる場所や余地を提供してもらいたい。
自分で、成功も失敗も合わせて、安全にチャレンジが出来る場と情報と時間。
すぐに良い結果を求めず、時には見守りながら、様子を見ながら、待ってあげることも必要かと思います。
ここからは少し苦しい「試行錯誤」
僕は「震え」に対しても数多くの「試行錯誤」がありました。
・様々な病院(西洋、東洋それぞれの治療院、整体、針治療…)
・メンタルトレーニングと言われるもの複数
・催眠治療
・各種「震え」や「緊張」に関する本
・サプリメント各種
・いろんなタイプの薬(精神薬、神経に効く薬等。合法です。)
・様々なアドバイス
・神頼み
・筋トレダイエット(体重が原因かな…みたいな)
・リバウンド(急に減らすと結局もどるのよ)
…
詳しくは、これもまた別に書きます。どれも解決する手段として、はまる人にははまると思うから。
まぁ、ここまでの「試行錯誤」はしなくていいと思っています。
精神をすり減らしていく度合いも大きいですし、やっぱり早く治った方がいいもの。早く専門家や経験者に相談した方がいい。
僕はあと5年、「震え」の問題が早く解決に向かっていたら…もっと違った人生があったでしょう。
でも、時代が進んだからこそ分かったことや、伝わってきたこと、タイミング…なんかもあるわけで。ここまで時間がかかったことでの経験もかけがえのないものでもあるわけで。…こればっかりは何とも言えません。
ようやく今現在…まぁ時間はかかったけれど、うまくいかなかった期間は必要だったのかなぁ…と認められるようになってきました。
失敗の連続とうまくいかなかった期間も含めて今の自分自身。
今まではそれらがトラウマ的に感じられて落ち込んだりしていましたが、今は失敗の経験が「自信」や「勇気」「モチベーション」につながっていく気がしています。
自分のやりたいことを信じて、諦めずに続けていれば、その潜在的な努力が、ぱっ、と開花するタイミングがいつかは訪れるということでしょう。きっとね。
とは言え、しなくていい苦労も沢山あるということ。
情報は(自分の判断能力をフルに使って)沢山利用した方がいいです。
苦しい時間はやっぱり短い方がいい。
もし苦しい時間が続いてきたら、その時間の受け取り方、付き合い方をこれからどうするかを選んでみたらいい。
貴重な情報収集の時間なのに…ただ落ち込むだけ、なのはもったいない!
そして、困ったら・・・例えば、僕みたいな人を利用したらいい。
(なにか質問のある方はお問い合わせまでどうぞ)
さて、最後に勇気の出る動画の紹介を。
イチロー選手のインタビュー動画。身体の使い方や思考のプロセスについて深く共感出来る内容です。
「遠回りすること」、ある意味「試行錯誤」を重ねることについても語ってあります。
この動画のイチローさんと今の僕が少し意見が違うのは、僕は合理的な考え方も好きだと言うこと。
合理的であっても良いと思う。地道にやってきたことはその人本人だけの大きな財産だけど、分かっていることや選択肢は多い方がいい。
地道な努力が最大限の効果を発揮してほしい。
だから、合理的な考え方「も」使いたいです。イチローさん本人も時間がかかったと仰っているけど、合理的な考え方に辿り着いていると思う。
※追記
イチローさんは高校時代からイップスになった、という話があります。
イップスを治したのは「センス」だと言い切るイチローさんはさすがですが、イップスは精神的なものだけとは限らないと今の僕は考えています。
フォーカルジストニアも近いものがあるかとは思いますが、専門家にかかることが回復の近道であることは間違いないでしょう。
なので、イチローさんの言う通り、ある意味「センス」であり、「練習ではどうにもならない」ことではあると思います。※追記ここまで
僕は指導者としては、誰かがやりたいことに対して出来る限り合理的なやり方を提案する人になりたい。
そこから先はどんどん自分で「試行錯誤」してもらいたい。
演奏者としては、もっと深みのある音楽家になりたい。
その為に「試行錯誤」を重ねていきたい。結果として無駄なことは何一つない。勇気を持って取り組めそうです。
…というわけで、今回はブログの記事は「試行錯誤」の重ね方(「試行錯誤」という言葉の登場回数も含めて)がパネぇ記事となってしまいましたとさ。これも無駄じゃないはず!←
僕の本番用リードケース。
大好きなアーティスト Cornelius(小山田圭吾さん)のサイン。
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