※これは2022年4月に続けて書いた文章です。
(全3回のうちの第1回)
今日は少し重たい話ですが、自分の為にまとめておきたい、言葉にしておきたいと思った話です。
長年。とは言ってもまだまだ20年弱といったところですが…
フリーランスでの演奏活動を続けていると、本当にいろんなことに遭遇します。
良いことも、
とんでもないミラクルのような出来事も、
宝物のような経験や涙が出るくらいに嬉しい称賛の言葉…
沢山ありますが、その逆もしかり。
トラウマのような失敗も、
頑張っても、努力しても報われなかったことも、
思い出したくもない事柄も…
そして、人から言われる、あんなことやこんなこと。
僕も残念ながら、
「事故」
とかでは片付けられない傷に今も悩まされていたりします。
本当だったら、そういうことがあった時点で、どこかで問題にしても良かったのかなとも思いますが…
今日までじっくり向き合いながら考える日々となりました。
それこそ、このご時世…コロナ禍になってからは、いろんなことも重なってか、
御自身の立場を守るためなのか、強い言葉や行動で、他人に対して攻撃的な方も多く見受けられるようになった気もしています。
フリーランスの音楽家…特にクラシックでの演奏を主に活動している人の場合しか僕には分かりませんが、
体感的には、とても弱い立場にあると言えます。
様々な現場に、臨時的に、呼ばれて仕事を行う立場であるということ。
お邪魔する団体、あくまでそこにレギュラーでいらっしゃる方達と違って、臨時的に呼ばれる側なので、いつもアウェイ的な思いは常に付き纏うし、何か迷惑をかけてはならないとかはもちろんのこと、エキストラである我々よりも立場上強いと思われる方々(レギュラーでもあり、時には我々エキストラの人選も担当していたりする)の機嫌を損ねてはならない、みたいな思いも存在します。
ある意味では当然のことです。
数年前までと違って、時代が時代なので、弱い立場の人に対する、あからさまなパワハラみたいなものが公に行われることは減ったとは思いますが、無くなってはいないと思います。
多くの場合、「先輩後輩」や「師弟関係」みたいなところから仕事をいただく、というような流れもあるため、強い立場と思われる人には逆らえない、ものを言いづらい、と言ったことはどうしても起こってしまいます。
そして、上の立場にある人がどれだけ気を遣っても、そうじゃない人に与えてしまう影響はある。
良くも悪くも。
そこに対する想像力、感受性みたいなものの欠如と思われるようなこと。
感情的な揺れ動きが多くある音楽の現場ということもあってか、ついつい出てしまうこと、無意識の中でというか、冷静に考えれば「それはアウトでしょう」と思われるようなことが、あっさりと言われたり行われたりすることもある。
人とのコミュニケーションの問題なので、それまでの関係性次第だとは思いますし、お互いに思うこともあるでしょうし、これまでの自分がやって来たことを考えれば、当然でしょ、と思うこともあったりしますが。
例えば、いくらお世話になっている方からの教えだったり、アドバイスだからと言っても、とんでもない言葉や強い言い回しは受け入れられないと思うこともある。
たとえアドバイスだったとしても、踏み込んではいけない一線は確実に存在する。
そう言ったことの多くは、数年前までは「そのくらいは我慢して当然」みたいな風潮だったものが、今では1発アウトだったりします。
ここ最近はいろんな業界での「告発」みたいな
「過去されてきた、言われたことが、当時は仕方ないと思って黙っていたけれど、やっぱり我慢するのはおかしいんじゃないか」
みたいなことを公にする、と言ったことも増えてきているように感じます。
しかし「反論する」って「されたり言われたりして嫌だったこと」に向き合わないといけないので、相当な気力を必要としますし、消耗もします。
反論に向き合っている時間が無駄に感じたり、馬鹿馬鹿しく、情けなくなったりする。
それだったら、今の自分のために時間や気力を使った方が良い。
そもそも本当に辛い時に、自分を守る為には、黙って耐えておく、ひたすら自分を癒すことしか出来ないこともある。
つい最近までは僕もそう思ってなんとかやり過ごして来ましたが、数年間黙っていることにより、自分にとって強く影を落としていることもあったりします。
あくまで「反論」といったことではなく、「整理」「自分の中での精算」みたいなことをしていきたいと思った次第です。
これから。少しずつ。
そして、先輩や指導者といった立場にもある自分も、いつ加害者のようになってしまうかも知れない、という思いを常に持っていたいという気持ちです。
色んな考え方が皆様それぞれにおありだと思いますし、こういった投稿も含めてご意見その他等あるかとは思いますが、僕自身の責任のもとでの投稿です。
ご容赦ください。
これまでの様々な経験全ては、今の僕を形成する上で「必要」だったことです。
おかげさまで、様々な方々にたくさんのご迷惑もかけながら、日々色んなことに気づき、成長するきっかけを頂いてきました。
楽器演奏において、長年の手の症状ともうまく付き合いながら生きてきましたが、約3年前に腰椎の入院手術も経験し、生きていく為に体型も大きく変えたこともあって、それ以前と全く同じように演奏することは出来なくなりました。
良くも悪くもです。
今まで気づかなかったことに多く気付くことにもなりました。
今の方が出来ることも山ほどありますし、体力もあるけれど、精神的にも相当追い詰められたこともあって、正直絶望するくらいに吹けない時期もしばらくありました。
上手く言い表せませんが、今より体が1.5倍くらい大きかったあの時の感覚、奏法に戻ると、ものの数秒も持たないこともあります。
新たな奏法や心身との付き合い方を見つけていくこと、そして、一つ一つの現場で手応えやフィードバックを得ながら、自信を得ていくこと。
それによって、一晩のコンサートを問題なくこなせるようにはなりました。
試行錯誤は続きますが、面白いくらいに違う感覚で楽器を演奏出来ています。
しんどいことも多いですが、一つずつ向き合っていきたいと思っています。
これからが楽しみです。